新神戸駅南側再整備後のイメージ図。(神戸市提供)
神戸市中央区再整備特集 Vol.2

再整備で住みよさが向上する、
元町・神戸駅エリア。

近世より世界に開かれた都市として栄えてきた神戸。異国文化に触れながら、独自の文化を育んできたこのまちは今、大規模再整備によってさらなる発展を遂げようとしています。本稿では、新たなまちの変化に迫るとともに、当社が特に注目している「元町・神戸駅周辺エリア」の再整備における取り組みを紹介します。
※パースはイメージであり、今後の設計及び関係機関との協議により変更となる場合があります。

再整備で「元町・神戸駅エリア」はどう変わる?

元町・神戸駅周辺エリアは、海と山の自然がバランスよく調和する商業地ですが、神戸市の中心地としてのにぎわいの創出や、駅前広場から周囲街区へのつながりの向上といった課題を抱えてきました。

JR元町駅
JR神戸駅
地下タワー式駐輪場の整備イメージ[製作協力:株式会社技研製作所](神戸市提供)

これらに対し、神戸駅では駅前広場再整備と、それに伴うロータリーの再編と地下駐輪場の整備が実施されます。神戸市初の地下タワー式駐輪場を採用することで、多くの駐輪台数が確保されるとともに、地上には大屋根が覆う広々とした「人のための空間」が創出されます。大屋根の素材には木材を使用し、湊川神社との調和を演出。湊川神社までの眺望も改善されることで、周囲のまちへの回遊性が向上します。
※パースはイメージであり、今後の設計及び関係機関との協議により変更となる場合があります。

神戸駅前広場(神戸市提供)
大屋根軒下から湊川神社方面への眺望(神戸市提供)
リニューアルした元町高架通商店街

元町では「元町駅前まちなか拠点」として道路を貴重な公共空間と捉えたリデザインが2017年に行われました。さらに2021年にはウォーターフロントに通じる鯉川筋における歩行者空間の拡充が完了し、回遊性が向上。元町高架通商店街(モトコー)でも再整備が行われ、まちに新たな活気を呼び込む動きが起こっています。

ハーバーロード

また、西元町駅とハーバーランドを結ぶハーバーロードでは、「ハーバーロード景観形成市民協定」に基づき、建物や屋外広告物等の規制ガイドラインが設けられています。この協定によって、神戸にふさわしい歴史的な街並みや港町らしい雰囲気が維持され、個性的でにぎわいのある街並みが形成されています。

「元町・神戸駅エリア」とつながる三宮駅前の再整備

神戸都心部の中心である三宮駅周辺は、市の土地利用計画で「都心機能高度集積地区」に位置付けられており、商業・ビジネスに特化したまちづくりが行われています。
鉄道駅とバス乗降場が集中し、南北の幹線道路が通る三宮交差点周辺では、「人と公共交通優先の空間」を設ける「三宮クロススクエア」の整備が進行中。併せて都市の新たなランドマークとなる地上163mの「ツインタワービル」や「JR三ノ宮新駅ビル」(仮称)の建設、複合施設としての機能も持つ「神戸市役所本庁舎2号館」の建て替えも進んでいます。これらにより「えき」から「まち」へ人々をつなぎ、憩いにぎわう市街中心地が創出されます。

再整備が進む三宮交差点
JR三ノ宮新駅ビル(仮称)完成イメージ図(神戸市提供)
「三宮クロススクエア」完成イメージ図(神戸市提供)
「神戸市役所本庁舎2号館」2024年1月時点の完成イメージ図(神戸市提供)

※パースはイメージであり、今後の設計及び関係機関との協議により変更となる場合があります。

サンキタ通りのオープンカフェ
サンキタ広場

既に歩行者中心の空間として、2021年に整備が完了した阪急・神戸三宮駅北側の「サンキタ通り・サンキタ広場」では、オープンカフェが約100mにわたって続く新しい街並みが新たな人の流れを生み出す誘因になっています。

一方で、5つのゾーンで構成される三宮クロススクエアでは、元町・神戸駅周辺エリアへの利便性の高いアクセスが構築されます。そのため、このエリアは商業中心地の三宮の利便性を享受しながら、快適な住環境も兼ね備えた魅力的な暮らしが実現できる地域となっていくでしょう。

高校生の通学定期代を全額支援。ますます手厚くなる神戸市の子育て支援

子育て世帯にも優しい神戸市は、2020年度から「神戸っ子すこやかプラン2024」を掲げ、5か年計画でさまざまな取り組みを行い、市をあげて子育て環境の拡充を図ってきました。
子育て支援の拠点である「こどもっとひろば(児童館)」を市内120か所に設置。0歳から18歳までの子どもと保護者が利用できるこの施設では、0歳児を育てる家族が初めて訪れた際に「はじめておでかけギフト」を進呈するなど、小さな子を持つ親が気軽に利用できる環境を提供しています。

ほかにも、市内9か所の区役所内には0歳から2歳の子と保護者が利用できる「おやこふらっとひろば」や、建築家・安藤忠雄氏が設計・寄付した絵本とふれあえる文化施設「こども本の森 神戸」など、子どもの感性を育みながら、保護者同士も交流できる場が整っています。

一方、制度面では生後6ヶ月から2歳の乳幼児がいる世帯を対象に「こども誰でも通園制度」を全国に先駆けて実施。こちらは保育所等に通っていない子を保育所や認定こども園等の施設で月10時間まで1時間300円で預かってくれる制度で、一時保育と異なり預ける理由を問わないので、「子育てに少し疲れてしまった」という時の心の支えになるはず。

そして、2024年9月から新たに始まる画期的な制度が、神戸市民の高校生等への通学費補助です。これは神戸市内の高校等に通う生徒の通学定期券代を市が全額補助。神戸市外の高校等に通う場合も定期券代が年額14万4,000円を超えた部分の半額の補助が受けられます。

さらに2024年秋からは、新生児が誕生した世帯におむつやミルク等、計3万7千円相当の育児用品を10回に分けて届ける「こべっこウェルカム定期便」がスタート予定。さまざまな手厚い制度からは、地域全体で子育て世帯を支えようという神戸市の姿勢がうかがえます。

まとめ

大規模再整備で都市のアップデートが進み、さらに暮らしやすい都市に変貌しつつある神戸都心部。進化とともに生まれ変わるまちは、さまざまな人のライフスタイルの実現に応えてくれることでしょう。